網膜症が軽い段階であれば、次のような治療で、進行を抑えることができます。
・血糖コントロール
単純網膜症で、視力が良好な段階であれば、食事療法、運動療法、薬物療法などにより、血糖値をコントロールすることで病変の悪化を防ぐことができます。血糖値を安定した状態に保つことができれば、
小さな出血などは自然に消えることもあります。もちろん、ほかの治療を行う場合でも、血糖コントロールは継続することが必要です。
・光凝固(レーザー治療)
単純網膜症でも視力の低下がみられる場合、あるいは前増殖網膜症の段階になると、レーザーで網膜を焼く「光凝固(ひかりぎょうこ)」を行います。
特に視力の中心に浮腫(むくみ)が発症すると治療は難しくなります。
症状が進行してしまった場合は、手術が必要になります。
・硝子体手術
硝子体の中で大出血が起こったり、網膜の表面に増殖膜ができたときは、「硝子体手術」が必要になります。この治療法のおかげで、 最近では高い確率で網膜剥離も治せるようになりました。しかし、長く剥離したままにしておくと、
網膜の神経組織が傷んでしまうため、剥離が治っても視力回復は不十分なことがあります。 硝子体手術は、眼科手術のなかでも高度な技術が必要とされるうえに、特殊な機器が必要です。
そのため、すべての医療機関で行えるというわけではありません。
早い段階で網膜症を発見できれば、治療もそれだけ簡単に済みますので、治療の効果も上がります。どの病気にもいえることですが、 早期発見・早期治療が糖尿病網膜症では何よりも大切です。